認知不協和
以前から不思議に思っていたのだが、ゼクシィというウェディング界のおばけ雑誌。
表紙に起用されているモデル達が妙に若い。
たいてい20代前半、なかには10代ということすらある。
マーケティングとしては、商品に共感してもらうためにターゲット層と同じ属性の人を起用するのが普通だ。
最近の晩婚化の傾向から言えば、メインターゲットは30代女性であるはず。なかには40代ということもあるだろう。
ゼクシィガールとしてCMに起用されてきた歴代のモデルを見てみよう。
初代:加賀美セイラ
2代目:加藤ローサ 19歳
3代目:JOSI
4代目:倉科カナ 18歳
5代目:高橋真唯
6代目:松井愛莉
7代目:広瀬すず 15歳
8代目:新木優子
9代目:吉岡里帆
10代目:佐久間由衣
確かに若い。20代後半の結婚適齢期よりかなり下の年齢だ。
モデルを選定するにはそれなりの目的があり、
共感
ファン
共感とは、モデルとターゲット層の構成が近く、この商品は自分向けに作られているな、と錯覚してしまうもの。
例えば、缶コーヒーの広告がわかりやすい。
現在、缶コーヒーの主要な購入者は肉体労働者だ。
そのため、広告でもやたらと肉体労働に従事する人物が描かれる。
某缶コーヒーのCMで毎回トミー・リー・ジョーンズが現場で働いてるのは偶然ではないのだ。
一方、ゼクシィを購入するのは基本的に女性、特に具体的に結婚の予定がある、もしくは決まった女性が読者層だ。
いくら広瀬すずがかわいいからと言って10代の女の子がゼクシィを買うとは思えない。
もしかしたら、彼女たちに憧れた若い女性たちが結婚しようと思い立ってくれるかもしれないが、晩婚化は彼女たちにだけの事情ではなく、結婚相手となる男性側の事情もあるので、そう簡単に解決するものではない。
ここで、もう一つ事例をあげよう。
救心のモデル
高橋 光臣 36歳
求心のメインターゲット層は50代以降の動悸息切れの激しい人たちだ。要は老化が相当程度に進行している男性。
一方、モデルの高橋 光臣さん。
年齢的にも30代と若いし、見た目も若い。
全く求心のお世話になってなさそう。
これはもうモデルに共感を求めてない。
商品を広く知ってもらいたいという広告の目的と初老向けというイメージを払拭したいという目的があるように思う。
実際は初老の男性が主なターゲットなのだけど、この商品を買う人は初老じゃないですよ、というメッセージだ。
本来のターゲット層は現実を見たくないのだ。
モデルを使って、あなたはまだまだ若々しいし、そういう人向けの商品です、というメッセージ。
本題に戻って、ゼクシィのモデル達だが、やはり役割は同じだと思う。
実際のターゲットは30代40代なのだが、この雑誌がそういう世代向けではなく、初々しい花嫁向けの雑誌ですよ、というメッセージだ。
もちろん、購買層も自分がそんな晩婚化ド真ん中だという現実にわざわざ向き合いたくない。
いや、気がついてはいるが他人から、まして雑誌からとやかく言われたくない。
こうして結婚にはほど遠いモデルたちが今年もゼクシィの広告塔に起用されていく。